2022-02-27

更木地域の“今”を学ぶ養蚕体験ツアーを開催!【1日目】

実施日/2021年10月30日(土)

岩手県内外からおよそ20名が参加。

 今回のプロジェクトでは金融庁の有志でつくる地域課題解決支援チームをはじめ、岩手県内外の大学・金融機関・一般企業、北上市など、さまざまな分野のスペシャリストたちと連携。地域外の視点やアイデアを積極的に取り入れ、地域産業である「養蚕」をベースに更木地区が抱えるさまざまな地域課題を解決していこうとチャレンジを続けています。

 今回のツアーは「更木活性化協議会」の取り組みを応援してくださっているそうしたみなさんが県内外からおよそ20名参加。この機会に更木地区の取り組みとその現状を知ろうと、更木まで足を運んでくださいました。

蚕を間近で見ながら、養蚕業の今を知る機会に。

 ツアーの最初は、更木地区の活性化において重要な役割を担う「養蚕」の作業場を見学。本来であれば霜が降りると蚕の餌となる桑の葉が収穫できないため、この時期は養蚕のオフシーズンとなりますが、今回は特別に飼育している蚕の様子を間近で見ていただきました。

▲桑の葉を食べる蚕。

 また、養蚕の歴史や更木地区の養蚕農家の現状についての説明は、北上市地域おこし協力隊として更木地区で養蚕に取り組む髙橋愛衣さんが担当。

 5000年以上の歴史を持ち、かつては日本の基幹産業として栄えた養蚕業も、現在は海外からの安価な生糸や絹製品の輸入により厳しい状況が続いています。その実態を自身の体験も交えて髙橋さんが語ってくれたことで、今回の取り組みの意義を改めて知っていただく貴重な機会となったと思います。

 と同時にこのプロジェクトを通して、養蚕技術を活用して得られ、認知症への新たなアプローチになると注目を集める新物質「ナトリード」への展開や、繭などを使った特産品の開発を加速させていきたいと決意を新たにした時間でした。

▲参加者に養蚕の説明と、養蚕業の現状を語る髙橋さん(写真左から2人目)。

桑の葉の収穫と繭細工にも挑戦!

 養蚕体験の後半は、蚕の餌となる「桑の葉」の収穫と「繭細工」の2チームに分かれて実施。

 繭細工の体験では、蚕と暮らした子ども時代の思い出話など地元の方のお話にも耳を傾けながら、繭細工にチャレンジしました。この体験に参加したのは、地域課題の解決で豊富な実績を持つ福島学院大学と福島大学のみなさんです。

 繭は生糸にするため製糸会社などに出荷しますが、少しでも汚れがあると出荷できず、そうした繭のほとんどが廃棄されていました。その繭を活用し、新たな特産品を生み出すことができれば、養蚕農家の収入アップや農閑期の農家さんの新たな就労機会を生み出すことができます。

 それを実現するためにも、学生のみなさんの意見なども積極的に取り入れながら、新たな特産品の開発に挑んでいきたいと思います。

▲上段は地域おこし協力隊の髙橋さんが手掛ける繭細工。下段は更木の特産品である桑茶と、その桑茶と陸前高田市の北限のゆずを使った「wa」風クラフトジン。それらに続く新しい特産品の開発を現在進めています。

課題解決へ。地元の方を交えてディスカッション。

 養蚕体験のあとは地元の方も交えて、以下をテーマに4つのグループに分かれてディスカッションを行いました。

①娯楽……地域外からヒトを呼び込むには?

②定住……空き家を活用して定住してもらうには?

③産業……新たな産業を生み出すには?

④食と特産品……新たな特産品は?

 地元の方を交えて、職種や肩書、年齢などの垣根を超えてのディスカッションは、限られた時間のなかでも白熱。

 まだ今回のプロジェクトは動き出したばかりですが、それでも最後の発表会では「現状と課題」を踏まえて導き出した「解決策」のなかに、すぐに実行に移せそうなユニークなアイデアも飛び出し、とても有意義な時間となりました。

【アイデアの例】

●新たなキャラクターをつくる

●キャンプ場をつくり運営していく

●縄文土器で桑茶を飲む など

 さらに、養蚕業の今後の発展に向けて期待が集まる新物質「ナトリード」の現状と将来性について、同物質を活用した商品を手掛ける第一工業製薬さんからうかがうお話も貴重でした。

▲第一工業製薬さんが手掛ける健康食品「カイコ冬虫夏草」のパンフレット。飲みやすい錠剤タイプで、認知機能をサポートする話題の商品。

 「養蚕体験」と「地域の課題」と向き合った濃密な1日目の取り組みは、これから活用が期待される空き家をバックに記念撮影をして終了となりました。 

 みなさん、お疲れさまでした。明日もよろしくお願いします!

(了)


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